くらしを豊かに
2023/02/16
エネルギーインフラを支える仕事とは 〜LNG基地で働くサービスエンジニア〜
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目次
火力発電の燃料や都市ガスの原料として欠かせないLNG(液化天然ガス)。
日機装は、LNGを利用するときに欠かせない機器の一つ、クライオジェニックポンプを手掛けており、世界中の発電所やLNG基地などで利用されています。
プラントの中で動き続けるクライオジェニックポンプは現場に納品して終わりではなく、 -162℃という厳しい環境の中でも安定して稼働し続けるための保守管理が欠かせません。
今回は、そんなポンプのメンテナンスや修理、試運転などを担う日機装の「サービスエンジニア」の仕事をピックアップ。日機装のクライオジェニックポンプを導入してLNGの受入・貯蔵・気化・供給を行う坂出LNGの兼子様、三好様との対談で、四国のエネルギーインフラを支える人々の仕事とサービスエンジニアの役割について、そして今後への思いを聞きました。
坂出LNG株式会社 兼子 裕也 様:技術部技術課所属。2009年に入社し、設備の運転・管理およびLNG分析など様々な経験を経て、現在は設備全般のメンテナンス管理を担当。 三好 晃輝 様:技術部技術課所属。2016年に入社し、設備の運転・管理の経験を経て、現在は主にクライオジェニックポンプを含むプロセス設備のメンテナンス管理を担当。 日機装株式会社 福居 洋介:クライオフィールドサービスグループ所属。クライオジェニックポンプのサービスエンジニアとして約20年従事し、世界中に納入されているクライオジェニックポンプの安定稼働を支えている。 下田 真己:クライオフィールドサービスグループ所属。航空整備士の経験を経て2021年入社。クライジェニックポンプのアフターサービスを担当。 (※所属・肩書は取材時点のものです) |
四国のエネルギー供給の一翼を担う坂出LNG基地
――本日はよろしくお願いします。まずは、坂出LNG基地の概要からお聞かせいただけますか。
兼子様:坂出LNG基地は、主にマレーシアから運ばれてきたLNGの受入・貯蔵・気化・近隣企業への供給を行う施設として2010年に営業運転を開始しました。
タンクに貯蔵したLNGは基地内で気化させて、四国電力の坂出発電所や四国ガス等へガスを供給しています。そのほか、当基地からLNGをローリー車に積み込んで四国内のLNGユーザー様のところへ直接LNGを運んでいます。
――具体的にどのような体制で基地の運営を行われているのでしょうか。
三好様:当基地は、四国電力のグループ会社の一つとして社長以下44名で運営しています。技術的な業務を担当する技術部(設備の運転・管理等を担う製造課と技術課)と会社としての運営・管理等を行う総務部(総務課のみ)に分かれており、私たちが所属する技術部技術課は設備のメンテナンス管理を行っています。
現場でのメンテナンス作業はグループ会社や協力会社に対応してもらっています。また、LNGの受入は技術部の両課はもとより、グループ会社や協力会社の協力も得て対応する等、基地の運営は多くの方々に支えられています。
――四国のエネルギー供給を支える仕事において、大切にされていることを教えてください。
三好様:機器や設備に不具合が起きるとガス供給に制約をかけることになりかねないため、まずは基地の安定運転を何よりも重要視し、日頃から細かなところまで気を配りながらメンテナンスを行うよう心がけています。
また私たちは高圧ガスを取り扱っているため、小さな不注意が大きな事故につながってしまう恐れがあります。このことを私たちだけでなくグループ会社・協力会社の皆さまもしっかりと意識してくださっており、安全に配慮した行動の積み重ねの結果として、基地の営業運転開始から本日まで無事故・無災害での操業を続けられています。
坂出LNGでは、ビジョンとして「ウェルビーイングな人と組織を創りクリーンエネルギーの架け橋として地域社会に貢献します」と掲げており、ウェルビーイング、安全・安定操業、そして環境適応、という3つの価値を大事にしながら地域社会に貢献することを目指しています。
「ポンプを止めることはできない」という共通認識を持ち、安全と品質の両立を徹底
――坂出LNG基地と日機装の関わりについて教えてください。
三好様:貯蔵しているLNGをタンクからローリー車や気化器へ払い出す際に必要となるポンプに、日機装さんの「クライオジェニックポンプ」を導入させていただいています。
日機装さんのサービスエンジニアには、2010年の運転開始から現在に至るまでポンプの定期的な分解点検整備で技術指導をしていただいている他、機器の状態で気になる点が発生した際には、現場確認や工場との窓口対応などのサポートも対応いただいています。
下田:クライオジェニックポンプは、通常のポンプと異なりLNGを貯蔵するタンクの中に入っているため、運転中は直接ポンプの状態を確認することができません。そのため何か異常があった場合は、振動値や電流値、異音の有無などから原因を予測する必要があります。
――下田さん、福居さんは日機装のサービスエンジニアとして、どのような意識でメンテナンス管理に携わっていますか?
下田:四国のエネルギーインフラを支えられているLNG基地ですから、私たちも「ポンプを止めることはできない」という共通認識を持って作業を行っております。また坂出LNG基地の無事故・無災害の積み重ねの中で、私たちも安全に対する配慮を徹底し、安全と品質を両立させることを強く意識してきました。
福居:特に分解点検時の、クライオジェニックポンプの引き抜き作業では、高さ54m・外径82mという巨大なLNGタンクの底部から極低温状態のポンプを安全に引き抜くことが重要となるため、お客様と私たちそれぞれの目線で「作業工程に抜かりがないか」を厳しく確認して進めています。
現場では機械・電気・計装など、各専門分野の作業者が集まって、役割分担して進めるため、多くの作業者が関わる現場をまとめることができるよう、ポンプに限らず全体的な知識を持つよう努めています。
――坂出LNG様として、日機装のサービスエンジニアのお仕事をどのように評価されますか?
三好様:例えば、機器の状況や今後予測されることを的確にご報告いただいたり、また部品の交換時期が近づいた際には、交換・修理方法だけでなく、最短で点検を終えて現状復帰させるための工程案までご提案いただいております。「点検の完了したポンプは次の点検まで絶対に止められない」「点検期間は最短で」など基地の安定運転に対する我々のニーズを的確に汲み取っていただいた対応に、誠に感謝しています。
下田:嬉しいお言葉をありがとうございます。私たちとしても、坂出LNG様にいただいたフィードバックがより良い製品を目指す改善の動きにつながるなど、いつも多くのヒントをいただけていることを大変ありがたく思っています。
日機装は「なんでも相談できる “かかりつけ医”」兼「緊急時に迅速に駆けつけてくれる “救急医”」のような存在
――坂出LNG基地にとって、日機装はどのような存在でしょうか。
兼子様:普段の点検整備時には、なんでも相談できる “かかりつけ医” としてサポートしてくださります。また機器の状態に気になる点が生じた際には “救急医” として迅速に現場に駆けつけてくださるので、日機装さんは弊社にとって必要不可欠な存在だと思っています。
――今後、日機装に期待することがあればお聞かせください。
兼子様:まずは基地の安定運転を維持していけるよう、これまで通り “かかりつけ医” 兼 “救急医” として迅速なご対応や的確なご提案をお願いできればと思っています。
また日機装さんのクライオジェニックポンプは非常に優秀なポンプで、これまで大きな不具合は発生していませんが、操業を開始して12年が経ちますから、今後何か起きることもあると思います。
その時に備えて、「どのような事象が発生し得るのか」「他社様ではどのような対策をされてきたのか」といった情報をご共有いただければ幸いです。
――ありがとうございます。それでは最後に、日機装のサービスエンジニアとしての今後の展望を、下田さん、福居さんからそれぞれお聞かせください。
下田:クリーンエネルギーへの移行が急速に進む、新たな時代に対応できるサービスエンジニアであるために努力したいです。日機装でもポンプ開発に取り組む “水素” や “アンモニア” をはじめ、多様な領域に対して知見を深めていきたいと思っています。
福居:私たちは「現場のお客様が今何を求めているのか」を直接お聞きし、また感じ取り、それを会社に展開できる立ち位置にあります。単純にポンプの整備だけを行うのではなく、日々しっかりとコミュニケーションを図りながら、お客様と日機装とをつなぐ架け橋になっていけたらと思います。
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