日機装の文化
2025/06/11
カーボンニュートラルな未来へ向けて、日機装の“エネルギー最前線”記事6選
- LNG
- インダストリアル事業
- アンモニア
- ポンプ
- 水素
- 脱炭素

目次
カーボンニュートラルの実現に向け、液化天然ガス(LNG)の活用や、水素、アンモニアといった次世代エネルギーの技術開発が加速しています。こうした燃料の生産、運搬、貯蔵、発電の流れの随所で活躍するのが、日機装の特殊ポンプ・システムです。 国産第1号となったLNG向けクライオジェニックポンプをはじめ、近年では火力発電向け液体アンモニアポンプや水素航空機向けポンプの開発も手掛けています。
本記事では、そんな日機装の“エネルギー最前線”に迫る6本の記事を、JAXAとの共創や宮崎の生産拠点での取り組みなど多角的な視点から紹介します。
エネルギー供給最前線。LNG基地を支えるサービスエンジニアの“現場力”
液化天然ガス(LNG)の受入れ、貯蔵、気化、供給を行い、四国のエネルギーインフラを担う「坂出LNG基地」。 この心臓部を支えるクライオジェニックポンプの安定稼働には、日機装のサービスエンジニアの存在が欠かせません。
何よりも“止めない”ための安全と品質を
「ポンプを止めることはできない」。そう語るエンジニアたちは、振動や電流の変化、わずかな異音などから異常の兆候を見逃しません。また、分解点検時に高さ54mの巨大LNGタンクの底部からポンプを引き抜く作業では、万全な準備と丁寧な連携で安全に対する配慮を徹底しています。
「日機装さんはなんでも相談できる“かかりつけ医”であり、緊急時に駆けつける“救急医”のような存在」。そのお客さまからの言葉通り、ニーズを的確に捉えた提案と迅速な対応こそが、日機装サービスエンジニアの“現場力”といえるでしょう。

世界シェア50%、「精密機械」クライオジェニックポンプの最前線
LNGなどの極低温液体を安全に送るクライオジェニックポンプは、100分の1mm単位で設計される、いわば「精密機械」です。日機装は、世界でも数社しか出来ないこの技術を武器に、LNGや次世代エネルギーの普及を支えています。
極低温の中で、機械が“完成”する
クライオジェニックポンプは、常温では完成しません。-162℃や-253℃といった極低温下でこそパーツ同士が最適なバランスで組み合わさり、本来の性能を発揮するよう設計されているのです。異なる素材を組み合わせながら、極低温の環境で機械として正しく機能させるためには、熱収縮の計算や部品間の隙間調整など、高度な解析技術と設計ノウハウが欠かせません。
日機装は40年以上世界中のプロジェクトに携わり、クライオジェニックポンプの知見と技術力を蓄積してきました。この強みを活かし、火力発電向け液体アンモニアポンプや水素航空機向けポンプなど次世代エネルギー時代の送液技術を切り開いています。

-253℃の壁に挑む。JAXA×日機装、水素航空機ポンプ開発最前線
飛行時に二酸化炭素(CO₂)を出さない水素航空機の実現に向け、日機装とJAXAは共同で液化水素ポンプの性能試験を実施しています。 その舞台は、JAXA角田宇宙センターです。
開発試験の舞台は、日本のロケットエンジンの“ふるさと”
開発試験を行っているJAXA角田宇宙センターは、ロケットの心臓部となるエンジンの研究・開発拠点です。1965年に、JAXAの前身である航空宇宙技術研究所の角田支所として開所しました。
敷地内には、ロケットエンジン開発に欠かせない設備がそろっています。そのため、日本でロケットエンジンを研究開発する場合には、どこかのステップで必ず角田宇宙センターの設備を使うことになります。つまり、水素航空機向けポンプの試験の舞台は、日本のロケットエンジンの“ふるさと”とも言えるような重要施設なのです。

-253℃を扱うために必要なこと
液化水素は-253℃。部品の金属や樹脂が縮んだり、硬化したりして、隙間から漏れる可能性も。そんな“扱いにくさ”に対し、JAXAと日機装はサブゼロ処理や予冷技術、設計ノウハウといった極低温に対する技術を持ち寄り挑みます。
重要なのは、運転前の予冷。内部が十分に冷えないまま動かすと、液化水素が気体になってポンプとして機能しません。 試験では温度センサで冷却状況を確認しながら、最適な稼働条件を探っています。異なるバックグラウンドを持つ両者が、それぞれの技術を持ち寄り、水素社会への道を切り拓いています。

求められるのは“タフ”さ
ロケットと水素航空機、同じポンプでも違いがあります。例えば、軸受けの寿命。ロケットエンジンの場合、これまで試験で運転した最長時間は約1万“秒”でしたが、水素航空機の場合、分解点検までの1万“時間”を想定する必要があります。
また、水素航空機が実用化されたときのことを考えると、飛来した地域の技術者がある程度トレーニング積んでおけば、取り扱えるぐらいの「タフ」さが求められます。「産業用」ならではの耐久性に、日機装は挑戦しなくてはいけません。

火力発電の低・脱炭素化に向けて。液体アンモニア用ポンプの開発最前線
CO₂排出量を抑制する石炭火力発電の「アンモニア混焼」。その実現には、液体アンモニアを安全かつ大量に送るポンプの存在が欠かせません。液体アンモニアの腐食性・毒性・低温(-33℃)という三重苦のような特性に対応しながら、発電所での高揚程・大流量の送液を実現するべく、日機装はポンプの開発に乗り出しました。
宮崎の地から、世界に先駆けるポンプを
クライオジェニックポンプの高揚程・大流量の技術と、キャンドモータポンプのモータ密閉技術。その両方を融合した火力発電向け液体アンモニアポンプの開発が、宮崎インダストリアル工場で進んでいます。
宮崎インダストリアル工場は、試作機の製造から試験、品質検証までを一貫して行える設備を有し、こうした難しいポンプの開発にも大きなアドバンテージがあります。加えて、QC活動による現場改善、人材育成も強化。若手社員たちが率先して現場に立って世界に先駆けるポンプ作りに挑戦しています。

まとめ
日機装の始まりは、火力発電用ボイラへの薬液注入用ポンプでした。以来、エネルギーの転換の歴史とともに、日機装の特殊ポンプは姿を変え進化しながら、70年以上にわたり国内外のエネルギーインフラを支えてきました。いま、世界がカーボンニュートラルへと動き、舞台は次世代エネルギー分野へと拡大しています。創業以来、社会・産業の変化に人と技術の力で応え続けてきたように、日機装はこれからも“エネルギーの最前線”で挑戦を続けます。
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