日機装の文化

2025/02/05

誰からも頼られる“コーディネーター”として。航空宇宙事業・海外営業職の魅力とは

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誰からも頼られる“コーディネーター”として。航空宇宙事業・海外営業職の魅力とは

目次

マーケットシェア90%以上を誇る航空機用部品・カスケードで世界中の空の移動を支える日機装は、今、次のステージへ着実に歩みを進めています。

例えば、新たな空のモビリティとして注目されるeVTOL(空飛ぶクルマ)。アメリカのJoby Aviation社向けに部品を提供しています。

こうした新たな製品開発で重要になるのは、お客さまと密に連携しながら、技術部門、工場などが一体となってプロジェクトに取り組むこと。その要となるのが営業職です。

今回は、航空宇宙事業の海外営業職として活躍する佐々木 菜津実さんにインタビュー。幅広い役割を担いながら、グローバルに人を巻き込みプロジェクトを推進する、その魅力に迫ります。

佐々木 菜津実:2015年中途入社。航空宇宙事業本部 営業部 開発プログラムグループに所属。海外の航空機関連メーカーのお客さまを担当し、主に新規製品の開発プロジェクトに取り組む。
(※所属・肩書は取材時点のものです)

海外とのコミュニケーション力を活かして、日本のものづくりを世界へ発信

――本日はよろしくお願いします。まずは、佐々木さんのご経歴から教えてください

佐々木:自動車部品メーカーで海外営業職経験を積んだ後、2015年に日機装に中途入社しました。入社当初から今に至るまで、航空宇宙事業における海外営業を担当しています。

――どのようなきっかけから日機装への転職を考えたのでしょうか

佐々木:新卒の就職活動時から、日本のものづくりを海外に発信したいという想いを軸に据えていました。転職する際もその軸は変わることなく、前職では自動車業界で海外向けの営業をしていましたが、次は異なる事業分野で新たな挑戦をしたいと考えていました。そんな中で出会ったのが、日機装の航空宇宙事業です。

航空機分野は海外メーカーが多く、さまざまな国のお客さまとやりとりができる点で、これまで磨いてきた海外とのコミュニケーション力を活かせる環境だと感じました。また、日機装はカスケードに使われるCFRPの加工技術など独自の技術を有する企業です。「自分のコミュニケーション力を活かし、日機装がもつ日本のものづくり技術を世界へ」。そんな思いを叶えられる会社だと思えたことが、入社を決めた大きな理由です。


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「Bright」は、社会を根底から支える技術や製品、人々に光をあてて紹介するとともに、未来に向けて挑戦する日機装の取り組みを紹介します。

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“コーディネーター”としてプロジェクト全体の推進を担う

――営業職が担う業務について、詳しく教えてください

佐々木:航空宇宙事業本部の営業部には、2つのグループがあり、現在私が所属する開発プログラムグループでは、お客さまのご要望に合わせた製品の開発から、量産化までの開発プロセスを担当しています。もう一つは、量産化した後、スムーズな量産プロセスを担当する量産プログラムグループです。それぞれ業務内容は異なりますが、どの業務でもやはりポイントになるのはお客さまとの良好な関係づくりに貢献することですね。

インタビューに応える日機装・佐々木氏

――佐々木さんがご担当されている開発プロジェクトでの営業の役割はどのようなものでしょうか?

お客さまへの製品や取り組みのご提案から始まり、見積もりの作成、工場との連携、契約交渉といった活動に加えて、製造の進捗管理確認やお客さまとの調整、さらには物流に関する調整まで、業務内容は多岐にわたります。

単に提案や交渉を行うだけではなく、技術や生産部門のメンバーとお客さまをつなぐ橋渡し役となってプロジェクトを進めていきます。このように、「営業」とは言うものの幅広い業務を行っており、プロジェクト全体をまとめる「コーディネーター」の役割を担っていると感じています。

――プロジェクトを推進するにあたって、どのようなスキルや姿勢が求められるのでしょうか

佐々木:例えば、プロジェクトの立ち上げから量産が軌道に乗るまでに約1-2年かかるなど、ものづくりを進めるには相応の時間が必要です。こうした数年単位で取り組む仕事を、途中で挫けることなく、粘り強く推進していく力は、特に重要だと感じています。

また、お客さまとの契約交渉を進めるためには、法律に関する知識やスキルを身につけることはもちろん、開発プロセスや「将来的にこうしたい」というエンジニアの意図を理解することが求められます。私自身も、社内で法務や技術部門のメンバーと密に対話を重ね、交渉を通じて経験を積む中で、お客さまにご納得いただける形でプロジェクトを遂行するために必要な準備や、押さえるべきポイントが少しずつ見えてきました。私は人と話すのも好きな方なので、いろいろな方との対話を重ねる中で経験を積み、今では意外と楽しみながら作戦を練っています。


現地工場での打ち合わせの様子現地工場での打ち合わせの様子

今後も視野を広げながら、お客さまと日機装をつなぐ架け橋的な存在として、社内外から頼りにされるコーディネーターでありたいですね。

現地だからこそできることも大切に、対話を重ねて信頼関係を築く

――これまでに経験されたプロジェクトの中で、特に印象に残っているものはありますか?

佐々木:入社して間もない頃に担当した、量産の少し手前の段階にある案件が印象に残っています。約1年にわたる契約・価格交渉を経て、当初は難しいと思われた条件を獲得できました。さらに、この案件は当時日機装が抱えている部品の中でも特に大型のもので特殊な点が様々ありましたが、技術部の皆さんの協力でさまざまな技術的な課題を乗り越え、無事に量産へ繋げることができました。

その過程では、海外にあるお客さまの工場あるいは日機装のベトナム工場に足を運んだり、オンライン会議を行ったりして、お客さまとの対話を重ねました。海外のお客さまで時差があるため、時には朝早くや夜遅くに会議を実施することもありましたが、こうした丁寧なコミュニケーションによって徐々にお客さまとの距離が縮まり、率直にお互いの考えや主張を伝え合える関係を築けたことが良い結果につながったのだと思います。営業担当として成果を残し、量産開始時期を支えられたことは、今でも「頑張ってよかった」という思い出として強く残っています。

――海外のお客さまの拠点やベトナムの工場へ実際に出張することもあるのですね。オンライン上でもやり取りはできると思いますが、現地へ行くことも大事でしょうか?

佐々木:そうですね。やはり現地に行って、腰を据えて話し合うことも重要ですし、工場に行ってお客さまに実際の製品を見てもらいながらお話する方が、理解してもらいやすいと感じます。

また、お客さまと一緒にランチに行った際には、家族の話やその国の行事の話などの雑談から、時には生活スタイルのこだわりの話を聞けたり、お客さまが持っていたドラゴンボールのスマホケースから日本のアニメで話が盛り上がったり。直接会うからこそできることですし、こうしたお客さまの人となりを知って、関係を深めるヒントを得ることもあるんですよ。


訪問先のベトナムでの様子

――航空機用部品の営業、という仕事をする中で、工夫していること、意識していることはありますか?

佐々木:航空機用部品は、契約期間が長期にわたる点が特徴で、一度採用いただくと、その機体が運用され続ける限りお付き合いが続きます。その分、お客さまにとって契約は大きな決断ですし、その過程で日機装を信頼していただかなくてはいけません。

そのため、営業担当者として当たり前のことを抜かりなくこなすのはもちろん、十分な準備をして堂々と交渉に臨むことや、品質面で信頼を裏切らないよう社内で認識を共有することを心がけています。航空機業界では安全性が最も重視されますから、厳しい基準を満たした高い品質の製品が求められます。何十年ものお付き合いがあるお客さまもいらっしゃるのですが、それも、これまできちんとした品質のものを納めてきたからこそのつながりだと思っています。

また、英語でオンライン会議をする場面では、お客さまと社内メンバーの間に立って通訳のような役割を担うことがあります。お互いに英語が母国語ではない場合もありますので、お客さまの意図を理解できているか、こちらの話すことが正しく伝わっているか、そこで間違いが生じないように気を付けています。

グローバルな航空機業界だからこそ感じるやりがいと魅力

――佐々木さんが感じるこの仕事のやりがいや魅力を教えてください

佐々木:「みんなで頑張ってきてよかったな」とやりがいを感じるのは、空港を訪れて、自分が担当した部品が搭載された航空機を目にしたときです。自分の仕事の成果が形として現れ、それを実感できることが、この仕事の大きな魅力だと思います。

また、世界中の人達と関わることで、視野や人間関係の幅が広がる点もこの仕事ならではの魅力です。多くの人と連携し、作戦を練りながら一つのプロジェクトを推進するというプロセスは、「自分がやりたかった仕事そのものだな」と感じますし、異なる文化やビジネススタイルを知ることで、新しい視点を得たり、考えを深めたりする機会が日々あることに喜びを感じています。私は欲張りなので(笑)これからも、できるだけ多くの国の人や文化を知りたいなと思っています。

そして、子どもが成長したときに「お母さんは世界中の人たちと一緒に仕事をしているんだよ」と自慢できる存在になりたいですね。


インタビューに応える日機装・佐々木氏

――お子さんがいらっしゃるのですね。お仕事とプライベートとの両立はどのようにされているのでしょうか?

佐々木:海外のお客様を担当するため、時差の関係で朝早くや夜遅くに稼働することもありますが、仕事とプライベートとで時間をきちんと区切ってメリハリを付けることで、両立できています。フレックスタイム制やリモートワークといった会社の制度を活用しながら、臨機応変に対応していますね。

意欲ある仲間と共に、航空宇宙事業を次のステージへ

――佐々木さんが今後チャレンジしたいことを教えてください

佐々木:コロナ禍でストップしていた案件も、ようやく動き始めています。まずは、現在携わっている案件をしっかりと量産につなげ、軌道に乗せることで、売上に貢献したいと考えています。

長期的には、これまで積み重ねてきた経験とスキルを活かし、よりチャレンジングな開発案件に取り組みたいと考えています。予測不能な状況にも柔軟に対応しながら、自分を成長させ、日機装が描く航空宇宙の未来に貢献していきたいと思います。

また、航空機業界では新たな空のモビリティとしてeVTOLや水素航空機なども注目されています。日機装は、もともと持っているCFRP加工技術やポンプ開発の技術を活かしながら、こうした未来に向けたプロジェクトにも携わり、技術やノウハウを蓄積しつつあります。今までにないものを切り開くという点で、現在担当している開発案件と似ているので、そうしたところでも経験やスキルを活かしていきたいですね。


熾烈!「空飛ぶクルマ」開発競争│生き残るeVTOLメーカーは?【パリ航空ショー現地レポ#1】 |Bright

「Bright」は、社会を根底から支える技術や製品、人々に光をあてて紹介するとともに、未来に向けて挑戦する日機装の取り組みを紹介します。

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――ありがとうございます。それでは最後に、日機装で共に働く未来の仲間に向けて、メッセージをお願いします

佐々木:海外営業職は、業務の幅が広く挑戦の多い仕事ですが、日機装の代表としてお客さまと向き合う中でやりがいや達成感、そして多くの学びが得られます。

飛行機が好きな方、「新しいことに挑戦しながら成長したい」「海外のお客さまと共にスケールの大きなビジネスに携わりたい」という思いを持つ皆さんと働ける日を楽しみにしています。一緒に日機装の航空宇宙事業をさらに成長させていきましょう。