日機装の文化

2024/01/17

日機装と共同研究!大阪工業大生に聞く「ポンプの研究って、面白い?」

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日機装と共同研究!大阪工業大生に聞く「ポンプの研究って、面白い?」

目次

 日機装は大学や研究機関との共同研究を通じて、新たな技術の開発や産業人材の育成に取り組んでいます。パートナーの一つである大阪工業大学とは、2020年度にポンプの共同研究が始まりました。大学内に日機装のクライオジェニックポンプとノンシールポンプの技術を融合させ、共同研究専用に開発したハイブリットポンプを組み込んだ遠心ポンプ実験装置を設置し、学生の皆さんに実践的なポンプ研究の機会やメーカーならではの知見を提供しています。一方で、学生たちの研究成果が日機装の製品づくりに生かされることも。

 今回は、共同研究先である機械工学科 宮部正洋教授の流体機械研究室を訪問。「ポンプの研究って、面白い?」「学生から見る日機装って、どう?」。工学部4年生の成松晋平さんと高橋樹央さんにお話を聞きました。(※所属・肩書は取材当時のものです)

「未解明現象の研究が面白い」「先人の研究者と同じ課題に向き合う充実感」

日機装とポンプの研究に取り組む成松さん(左)と高橋さん(右)

——大学でポンプを研究しようと思ったのは、どうしてですか

成松:子どもの頃から建設現場に行って重機を見るのが好きでした。中学、高校と上がるにつれて、重機に関わる研究がしたいという思いが明確になり、大学は機械系に進学しました。中でも重機は油圧ポンプで動いているので、「ポンプってどんなものだろう」と研究対象に選びました。

実際に研究という形でポンプに触れてみると、仕組みは思ったよりかなり複雑でした。また、長い研究の歴史があるにも関わらず、キャビテーションや旋回失速のように発生メカニズムが未解明だったり、抑制する方法が見つかっていなかったりする現象があり、それに驚くとともに面白いなと思いました。

高橋:研究手法が幅広いという理由で研究室を選んだため、最初はポンプそのものに興味があったわけではありませんでした。でも、研究を始めてから「実際にポンプはどんなところに使われているのかな」と考えるようになりました。例えば、この大学内でも水をくみ上げる用途などで使われていて、意外と身近なものだと感じます。

研究対象として見ても、先人となる研究者たちが向き合ってきたのと同じ課題に取り組んでいるので、「自分も研究者になったな」と充実感があります。

——お二人はどんな研究をしていますか

高橋:私が研究しているのは、ポンプ内で起きる不安定現象の一つである旋回失速です。旋回失速とは、ポンプを設計流量よりも低い流量で運転したときに、液体の流れが失速したり、回復したりを繰り返す現象です。発生するとポンプの部品に加わる圧力が大きく増減するので、部品の劣化につながります。

この旋回失速を引き起こす原因となるのが、ディフューザという部品です。このディフューザに注目して旋回失速の発生メカニズムや抑制手法を、実験や解析で分析しています。 

成松:私はポンプが液体を吸い込むインデューサという部品に着目して、研究しています。

ポンプの不安定現象の一つとして、液体に掛かる圧力が下がると、液体の沸点が低くなって気化し、気泡ができるキャビテーションというものがあります。この現象を繰り返すと、インデューサの回転翼に掛かる圧力が大きく増減し、部品の表面が削れたり、折れたりします。これを抑制するために、既存の日機装製品をベースにして、耐久性の高い形状へ改良しようとしています。

日機装との共同研究、現場目線の助言が勉強になる

——日機装との共同研究はどのような形で行っていますか

成松:大学内に日機装製の先端研究用遠心ポンプ実験装置が設置してあり、実際にポンプを動かしながら自分たちの研究を進めています。日機装の技術者には月に一回来ていただき、研究の進捗を確認してもらったり、細かい研究内容について議論したりしています。

また、先行研究となる国内外の論文を読み、その内容を発表する輪講会にも参加していただいています。不安定現象に対してとられる解決手法について、論文を読み解きながら研究室のメンバーと共有するのですが、そこで日機装の技術者には「実際、ポンプ業界ではこんな考え方がある」と教えてもらっています。


強みは社会実装力!企業の技術職だからできる研究開発とは?|Bright

企業に就職して技術職として働くか、大学や研究機関などアカデミアの世界に残って研究を続けるか——。そんな選択の岐路に立っている学生の皆さんも多いのでは。今回は、先端的研究への果敢な取り組みで表彰を受けたポンプ技術者の江尻真一郎氏に、企業とアカデミアの研究開発の特徴や得意分野の違いについて聞きます。企業だからできること、アカデミアだからできること。そして、日機装だからできること、とは。

bright.nikkiso.co.jp

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大阪工業大学で共同研究を行っている日機装の技術者・江尻真一郎のインタビュー記事はこちら。共同研究の狙いや思いも語っています。

——日機装のポンプを使ったり、技術者と共同研究をしたりして、どんなことが学べていますか

高橋:実機で実験を行うことによって、実際の製品で起きている現象を自分で観察できることに価値があると思います。また、これまでの現場での経験に基づいた助言を頂けるので、実際の技術者がどのように考えているのか学ぶことができています。

さらに、大阪工業大学との共同研究の成果が、日機装の製品の設計見直しに役立てられているケースもありました。企業での製品づくりに自分が携わっているような感覚がうれしいです。

成松:例えばキャビテーションについて、文献から学べるものも多くありますが、実際にどんなことが起きているのかイメージはなかなか湧きません。ですが、実際にメーカーで設計を担当している方から「こんな場面で発生しやすい」「こんな問題に進展する」といったことを、具体的な現場の声を交えて教えていただけると、イメージがつかみやすくなります。

さらに、部品を改良するにしても、学生のアイデアに対して、コスト面など企業ならではの視点で助言が加わることにより、考えが深まっていく感触があります。


——お二人から見て、日機装の社員ってどんな人たちですか

高橋:技術力がすごいなというのを実感します。現場での知見を踏まえたアドバイスが的確で、勉強になります。また、参考に送ってもらえる資料もきれいにまとめられていて、工学的な内容だけでなく、研究データの見せ方なども学ぶべき点が多いです。

成松:「やってみたい」と言ったことに対してすぐに対応していただけますし、「こんなこと、できますか」とアイデアベースの話を持ち掛けても一緒になって考えて、具体化してくれます。素早く柔軟な対応をしてくれるなという印象です。

——今の研究の面白さと、学んだ成果を今後どう生かしていきたいか、教えてください

高橋:流体技術という実社会のあらゆる場面で使われている技術を、自分で研究や分析できるのはやりがいがあります。今春に大学院へ進学しますが、学会発表などで外部の専門家とコミュニケーションを増やして、得られた情報を自分の研究にフィードバックしたいです。これまでも日機装の技術者とやりとりしてきましたから、その経験を生かして外部とのつながりを深めていければと思います。

成松:ポンプは研究の対象物としてある程度大きいので、実験として働きかけたことに対する現象の変化が目に見えて分かり、面白いですね。

大学院に進んだら、学部時代に方法論としては学んだけれども実験できなかった事柄について、時間を使って試して自分なりにかみ砕いていきたいです。また、目標を期日までに逆算して終わらせるという進捗管理を、日機装の技術者と一緒になって学んできました。メーカーに就職したら納期などの期限をより意識しなくてはいけなくなるので、こうした計画立ての経験は生かせると期待しています。

「実践的な研究で即戦力の学生育てる」宮部正洋教授

私の研究室は、タービン、圧縮機、風車、ファン、ポンプといったターボ機械を研究しています。企業の開発に近い実学的な研究が基本で、実践的な研究を積んでもらうことで、社会に出て即戦力となる学生を育てたいと考えています。

日機装との共同研究では、ポンプ開発のポイントはどこか、顧客がどのような用途を想定しているか、あるいはどんなトラブルが発生してどう対処しているのか、現場の生の声を聞くことができています。自分たちが関わっている研究がこんな形で役に立つという意義を、学生は身をもって知ることができているのではないでしょうか。



また、日機装との共同研究を通じて、学生たちには計画立てて研究を進めるということを学んでほしいです。いつまでに何をやるか、それに対してどれだけ進捗しているかを確認するというプロセスが大切だと思います。メーカーに就職しても研究開発のやり方は同じです。社会で実際に役立っている研究をしてきたという自信を持って、新しいことに挑戦してほしいですね。

大阪工業大学って、こんなところ~学部・学科を越えて“ものづくり”~

大阪工業大学の特色ある取り組みの一つが、「プロジェクト活動」です。鳥人間コンテストで好成績を残している「人力飛行機」、オーストラリア大陸横断レースへの出場を目指す「ソーラーカー」、さらに「ロボット」や「学生フォーミュラ」の4つのコンセプトで構成されており、学生たちが学部・学科の垣根を越えて"ものづくり"に力を合わせます。

「ソーラーカー」プロジェクトに参加していた大学院2年生(博士前期課程)の松浦健祐さんは「学部・学科を問わず誰でも参加できるので、お互いが強みを持ち寄って車体を作り上げていきました」と振り返ります。「人力飛行機」プロジェクトに所属していた大学院1年生(博士前期課程)の内海晴登さんは「仲間たちとコミュニケーションを取り、計画をすり合わせてものづくりをする経験は、就職してからも生かされると思います」と話し、将来に向けた糧となると期待しています。

ものづくりに励む大阪工業大学の皆さんを、日機装は応援しています。 

大阪工業大学 みらいを つくる つたえる まもる。 (oit.ac.jp)