日機装の文化
2023/12/27
【就活生にオススメ#2】空の旅の安全を守る航空宇宙事業の記事5選
- 航空宇宙事業
- 航空機
- CFRP
- 人工衛星
- eVTOL
目次
日機装のことを知りたい就活生向けに、日機装のオウンドメディア「Bright」の記事をまとめる【就活生にオススメ】シリーズ。初回のメディカル事業に続く第2回は、航空宇宙事業の記事5本を取り上げます。
1983年に、日機装が世界初の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製カスケードの開発に成功してから40年。市場シェア90%以上を誇るカスケードをはじめ、さまざまな航空機部品の製造を手がけています。さらに、航空機部品の製造で培った技術と信頼を生かして、人工衛星やeVTOLなど成長著しい先端技術分野にも参入しています。
世界シェア90%以上「カスケード」とは?
日機装のカスケードは、2大航空機メーカーのボーイングとエアバスの主要機種から各国のリージョナルジェットまで、あらゆる機種で採用されています。2022年には累計出荷数が70万個を達成しました。
滑走路で安全に減速するため欠かせない部品
「カスケード」って、聞きなじみのない部品ですよね。カスケードは着陸した飛行機を減速させるための部品です。円筒状のエンジンに沿って湾曲した格子状の形状をしています。
猛スピードで滑走路に降り立った飛行機は、飛行中には前から後ろに噴射しているエンジンの気流を、着陸時には逆方向に噴き出すことで止まる力を生み出します。着陸して「ゴゥー」とエンジン音が一段と大きな音を立てている時に、この動作が行われています。
逆噴射の仕組みは意外にシンプルです。飛行機が着陸すると、エンジンの周囲を覆っている円筒状のカバーの一部が開くとともに、ブロッカードアと呼ばれる板状の部品が筒の中に張り出して、後ろ向きの気流をブロックします。せき止められた空気は、開いたカバーの隙間から前方へと噴き出します。このとき、気流を制御するのがカスケードの役目です。
逆噴射装置を使用した場合と使用しなかった場合で着陸距離に約500mもの差が生じます。カスケードは安全に着陸するために、必要不可欠な製品なのです。
軽くて強い「CFRP」の加工に強み
日機装のカスケードが、世界中の航空機に搭載されるようになったのはなぜでしょうか——。それは、「軽くて強い」という航空機に適した性質を持つものの、加工が難しい素材であるCFRPの取り扱い技術に優れているからです。
日機装なら複雑な形状の部品製造が可能
CFRPとは「Carbon Fiber Reinforced Plastics(= 炭素繊維で強化された樹脂)」の頭文字をとった名称で、母材となるプラスチックに強化材として炭素繊維を組み合わせた複合材料のことです。
高い安全性や堅牢性が求められる領域でも活躍する、非常に信頼性の高い素材ではありますが、その強度や剛性の高さから変形や切削といった成形加工は困難です。また複合材料は、成形方法や形状次第でその性質が大きく変わることもあります。CFRPの成形加工には、これらを踏まえた「適切な成形方法の選択」と「設計・製造ノウハウ」が求められます。
日機装ではCFRPの成形加工にオートクレーブ成形法を採用し、40年にわたり多種多様な部品の設計・製造ノウハウを積み重ねてきました。そのため飛行機のジェットエンジンや主翼周辺の複雑な形状を持つ部品を多数提供し、お客さまから高い評価を得ることができています。
コロナで打撃の航空機業界で存在感を発揮
2020年からの新型コロナウイルス禍で、航空機業界は大きな打撃を受けました。感染防止のために人々は移動の自粛を余儀なくされ、航空需要が激減したからです。いまもコロナ禍の爪痕が残る航空機業界ですが、サバイバーとなった日機装は追い風を受けて存在感を発揮しています。
“サバイバー”として信頼できる部品メーカーに
世界がようやくアフターコロナに舵を切り、再び活況を見せた2023年6月の「パリ航空ショー」。ところが、航空機メーカーからは不安の声も聞こえたと、現地を訪れた齋藤賢治・航空宇宙事業本部長は指摘します。コロナ禍の影響で欧米の航空機部品メーカーを中心に倒産や廃業が相次ぎ、サプライチェーン(部品供給網)が崩壊していたからです。
日機装は航空機部品専業ではないことが功を奏して、サプライヤーの中のサバイバーとなりました。特に炭素繊維部品は世界でも手掛ける企業が少なく、注文が殺到しています。世界が注目する東南アジアのベトナムに2つ工場があり、余力もあります。経験値も知名度もあります。
「サプライヤーとしての注目度は高い」とみる齋藤本部長は、今後の事業方針として「収益性の高い仕事を選びながら、既存の工場をフル活用して、サプライチェーンを支えていく」と話します。日機装としても製品づくりの強靭なサプライチェーンを構築し、「ティア1やOEMから信頼できる取引先と考えてもらえるようにする」との意気込みです。
人工衛星に空飛ぶクルマ 技術生かして成長市場へ参入
航空事業で培ったCFRPの加工技術は、航空機以外の分野でも高いニーズがあります。人工衛星や「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOLなど、市場の拡大が予測されている先端技術分野です。
人工衛星部品も金属製からCFRP製に転換
かつては国の機関が主導していた宇宙開発ですが、2000年代以降はベンチャー企業が続々と参入するなど民間主導の開発にシフトしてきました。
参入企業の増加によって技術開発がより加速したことがひとつの要因となり、市場は大きく拡大しています。2016年にはおおよそ36.9兆円であった世界の宇宙ビジネスの市場規模は、2040年代にはおおよそ120.2兆円にまで成長するとの予測もあります。
民間企業が宇宙産業に進出するようになると、日機装が独自の加工技術を持つCFRP製の部品が、人工衛星の用途でも求められるようになりました。人工衛星はもともと低軌道の小型・超小型なものが多かったのですが、ミッションが多様化してきたことで大型化するケースがあります。それに伴い、衛星部品の軽量化の必要性が高まっており、金属ではなく比較的軽量で強度の高いCFRPへ部品を置き換えるニーズが出てきているのです。
トヨタ出資のeVTOLメーカー「ジョビー」のサプライヤーに選出
CFRPの加工技術は、eVTOL業界でも高い評価を受けています。eVTOLとは、電動の垂直離着陸機のことです。ドローンと電気自動車の技術をかけ合わせたもので、電動モーターで複数の翼(ローター)を回転させることで揚力や推力を得る仕組みになっています。滑走路が不要で騒音も少ないため、市街地も飛べる可能性があり、世界各国で技術開発や実証実験が盛んです。2032年には世界市場が約5兆円規模になるとの試算もあります。
日機装は2021年、トヨタから出資を受ける米国のスタートアップ企業ジョビー・アビエーション(Joby Aviation)の部品サプライヤーに選ばれました。eVTOLは機体を小さく軽くしなくてはいけないので、CFRPが素材に多く採用されています。そこで、日機装のCFRPを加工する技術が必要となるためです。
2023年6月、ジョビーで初めて量産用生産ラインで製造された機体が完成しました。この機体には日機装の航空機の技術と、協業しているトヨタ自動車の量産技術が生きています。航空機業界のように、eVTOL業界でも必要不可欠な存在になれるよう日機装は努力を続けていきます。
まとめ
1983年に世界初となるCFRP製を開発して以来、日機装のカスケードはボーイングやエアバスなどの主要機体などあらゆる機種で採用され、世界シェアは9割を超えます。これほどのシェアを獲得することができたのは、「軽くて強い」という航空機には最適な性質を持つCFRPの優れた加工技術を持つためです。こうした技術を武器に、日機装は人工衛星やeVTOLなど成長が見込まれている先端技術分野にも参入しています。
ここでは紹介しきれなかった航空宇宙事業で働く社員については、採用ホームページでご覧ください。
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